またまた危機一髪

2008.05.28(06:00)
俺だ。ボギーだ。

ゆっくりと、とてもゆっくりと、
意識が現実の世界へと引き戻されつつあった。
覚醒とともに、身体中の毛細血管に再び血液が流れこむ心地よさが広がってくる。

しかし、
何かがおかしい…。


俺は仰向けに寝ているようだ。
それだけならばとりたてて言うことではないのだが、非常に窮屈な状態だ。
縛られているのか?
いや、そうではなさそうだ。

顔は右を向かされている。そして動かせないように押さえつけられている。
そっと目を開けてみた。何も見ることができない。目隠しか?

それを取ろうと左手を動かしかけたその瞬間、
「そのまま。動かないで!」
低く押し殺した男の声だ。有無を言わさぬ響きがある。

さらにもうひとつ気がついたことがある。
左側の首筋に感じる冷んやりとしたこの感触。
この状況から考えれば、刃物と考えるべきだろう。

完全に目が覚めた。
『ああ、そうだったのか…』
俺は自分の置かれた状況、ここに至るまでの経緯を理解した。
じっとしているのが身のためだ。
ハードボイルドとしての本能がそう教えてくれた。

なるようにしかならない。
落ち着きを取り戻した俺は再び夢の世界へと引きずりこまれた。


不意に、強い力で上半身を起こされた。
先ほどとは違い、俺は一瞬にして目を覚ました。
目隠しのタオルが取られる。

目の前にもう一人の俺がいた。
すでにチリチリ頭の痕跡は跡形もなく消え去っている。

「さあ、できあがりだよ。」
「お客さん、ひげ剃る時に動いちゃ危ないよ。」

徒党を組んで、チリチリ頭の写真を見せろ見せろと圧力をかけてくる
不届き者集団に抵抗するため、チリチリ部分全部切って、証拠隠滅してやった。
ざまーみろ。(不届き者集団は前記事コメント欄最後の方にいる。)

俺は3,150円を支払うと、スキップしながら床屋をあとにした。

また会おう。

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