ハードボイルド、けじめをつける
2008.02.06(12:54)
俺だ。ボギーだ。最近、出会い系メールを真に受けて喜んでいたのは、どこのどいつだい?
「あたしだよ!」
いけねぇ。これは女王様だ。俺はハードボイルドだった。
昨日俺は衝撃の事実を知らされガラにもなく落ち込んじまった。
一斉に撒かれている出会い系メールってやつを、俺にだけきているもんだと
勘違いしちまってな。
「ふッ、ダセえぜ…。」
俺は遠くを見つめていた。遠い遠い過去のできごとを思い出していた。
幼稚園のころだ。俺にはピンキー(ももちゃん)というステディがいた。
ピンキーは俺にぞっこんな様子で、いつもこう言っていた。
「ねえねえ、ボギちゃん。わたし大きくなったらボギちゃんのおよめさんになるの。」
ところがだ。
ある日、ピンキーが他のションベン臭いガキに向かって、
同じことを言っているのを耳にした。なに?ピンキーは俺のおよめさんに
なるんじゃなかったのか?聞けばほとんどのガキどもは
ピンキーにこう言われたことがあるらしい。
とんだあばずれ女だ。
しかし俺はハードボイルド小憎だ。
婦女子に対してはジェントルに接しなきゃいけねえ。俺はこう言ったね。
「なあ、ピンキー。俺に惚れちゃあいけねえぜ。俺はお前には危険すぎる小憎だ。」
ピンキーは言った。
「じゃあねー、ボギちゃん、バイバーイ!」
これでいいんだ、これで。俺はその日、やけ牛乳を飲みすぎ腹をこわした。
俺はこれまで受け取った忌々しい出会い系メールとやらを、
すべて燃え盛る暖炉の中に放り込んだ(これは言葉のアヤだ。)のではなく、
すべて削除した。俺は新しい自分に生まれ変わった気がした。
もしかしてこれがあの有名な迷惑メールってやつだったのか?
また会おう。
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穴があったら入りたいハードボイルド
2008.02.09(00:58)
俺だ。ボギーだ。俺は肩でドアを押し店内へと入った。
身を切るような寒さの中から、50年代のジャズの流れる
暖かい店内に入った途端、身体中の血液が再び活発に
流れ始めるのを感じた。生き返った気分だ。
俺は素早く店内を見回した。
奥へと延びる10席ほどのカウンターには、
手前側にに初老の男が一人、中ほどには20代後半のレディが一人座っている。
ハードボイルドな俺にとって、周りの状況を一瞬で把握することは、
生きるために不可欠なことだ。
狙われているのかって?
いや。
ただの趣味だ。
俺は一番奥の席に腰をおろした。
「マスター。」マスターが振り向く。
「酒だ、酒持ってこんかい!!ワレ!!!」
ちがう…。
俺は痺れるような低い声で、「バーボン、ダブル。ロックだ。」
しかしどうやら痺れたのは俺だけのようだ…。
俺は煙草に火を点けた。紫煙が漂う。
ハードボイルドな男の煙草といえばラッキーストライクと相場は決まっている。
メンソールなどもってのほか、女子供の吸うもんだと業界では言われている。
だいたいメンソールは○○○になるから、吸っちゃいかんとじいちゃんに教わった。
にもかかわらず、俺はマルボロライトメンソールを吸う。
なぜなら俺は異常性欲の持ち主だからだ。ガハハハハ!
少しメンソールで抑えないと…。
嘘だ。一度言ってみたかっただけさ。本当の理由は…覚えてない。
話は変わるが、実は店に入った時から、
俺は横のレディが気になってしようがない。
細かいことまで言わないが、早い話が俺の好きなタイプだ。
ど真ん中のストライクと言ってもいい。
これをみすみす逃してはハードボイルドと名乗る資格はない。
だからと言ってがっついてもいけねぇ。あくまでスマートにな。
『お嬢さん、シェリーでも一緒にどうだい?』今日はこれでいこう。
鷹が獲物を狩るように切れ味鋭くスパッといくぞ。まあ見てろって。
俺は席を立ち、レディにの傍らに。
そして声をかけようとしたその瞬間、
ほんの一瞬だが弱気な気持ちが心をよぎった。
それが動揺を誘った。しかし声は止まらない。
そこで口からでたものは、
「おじょ、じょ、じょ、じょ、じょ…。」
やっちまった…。
最悪だ。
『ガキにションベンさせてんのか、おいボギー??』
さすがの俺もうろたえた。頭の中真っ白になっちまった。
この危機を乗り越えるにはどうしたらいいんだ!考えろ!
そうだ、逃げろ!
俺は一万円札を抜き出すとマスターに、
「釣りはいらねえ、とっときな。」と言い残しスタコラ逃げ出した。
バーボン一杯800円。残りは全てチップと消えた。
俺は冬の夜の寒さを骨の髄まで感じながら、2時間歩いて家へと帰った。
また会おう。
← こっちだけでもお願い ハードボイルドの目下最大の悩み
2008.02.10(15:55)
俺だ。ポキールだ。いやボギーだ。この切れ味鋭いジャパニーズ・トラディショナル・ジョークがわかったあんた、
トシだぜ。
業界の掟じゃあ、ハードボイルドはペット禁止だ。
なにやらアパートやらマンションやらの入居条件みたいだが…。
理由はというとただ一つ、カッコ悪いからだ。
想像してみてくれ。
ハードボイルドの聖服ともいえる、トレンチコートにソフト帽、時と場合によっちゃ
濃い色のサングラス、それでもってピンクのリボンをつけたプードルを引いてちゃ、
サマにならないだろ。ましてや道端でうん○片づけてたりしちゃあな。
ハードボイルドも形無しさ。
だがな、ここだけの話だが、実際はそれぞれ隠れてペットを飼っていたりする。
もちろんハードボイルドにふさわしいやつだ。ドーベルマンなんかは人気がある。
精悍な顔つきといい腕っぷし(?)の強さといいハードボイルドにピッタリだろ。
俺だってそうさ。ドーベルマンじゃないけどな。全身は黒光りで、デカくて強いあごを
持っているハードボイルドなやつだ。なんだか知りたいか?じゃあ、教えてやろう。
オオクワガタだ。他にもいる。デカいハサミを武器に周りのすべてに戦いを挑む、
アメリカザリガニ、通称マッカチさ。
どうだ。強そうだろ。ちょっと小さいけどな。ドーベルマンは餌代がかかりすぎだ。
その点、オオクワガタやマッカチはいいぞ。ハードボイルドが金の話をしちゃあ
カッコ悪いんだが、背に腹は代えられない。無理なものは無理ってもんだ。
ところが、マッカチはいいんだが、オオクワガタは少し数が増えすぎちまってな。
だいぶ減らしたんだが、それでも成虫が10匹。あと2ケ月もすれば、
今は幼虫でいるやつが成虫に変わる。そうなりゃ25匹の大所帯だ。
さすがにうんざりだ。
ということで、こいつらを早いうちに里子に出すなり、数を減らさなきゃいけねえ。
これが目下最大の俺の悩みだ。
ハードボイルドを謳うわりには、今回はスケールが小さいんだが…。
まっ、こういうこともあるさ。
また会おう。
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